夜桜の名所・桜便り

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今宵は夜桜を楽しもう

東北夜桜紀行01 060.jpg千年の昔から桜の美しさは、日本人の心に深く根づいています。ですが、春のまばゆい日差しで華やかに咲き誇る桜とは別に、もうひとつの顔があります。それは月明かりやボンボリの灯りに照らされた夜桜です。近頃では人工的にライトアップされた夜桜も多く見られようになりました。昼間と違い、闇に浮かび上がる姿は、不思議な妖しさをたたえて、人々を魅了します。
夜桜名所として日本三大夜桜と言われるのが、青森県の弘前公園、東京都の上野恩賜公園、新潟県の高田公園です。弘前公園は、白亜の天守閣と堀りに散った花びらが美しく浮かび上がり、五千本の桜が昼間とは別に華やかな濃厚感に包まれます。上野恩賜公園は、二千五百本のボンボリが吊され、夜桜は混雑ぶりの方が話題になるほどですが、ここでは不忍池周辺がお勧め。こちらは賑わい少なく、池周辺に桜並木が続き、夜空が近く見え都会とは思えない穴場的な夜桜見物が楽しめます。日本海に近い高田公園は、堀端に三千五百のボンボリが灯りを照らし三重櫓のライトアップが、お堀りの水辺に映えて美しい。また、夜店の数も多いのが特色。この三大夜桜の名所は、夜桜見物での人出の多さで言われており、期間中は百万人を越える人で賑わいます。
他にお勧めなのが、南アルプスを背景にした高遠城址公園。濃い花色の桜で園内が埋まるほど枝が伸びており、夜桜はまさに幻想的。一度、見れば忘れられないほどの絶景。なかでも桜雲橋から太鼓櫓にかけてが、一番の見どころ。京都では平安神宮のシダレザクラが、雅な夜桜で楽しめます。回遊式庭園に二百本の桜が池の周囲に咲き競っており、幽玄な世界にいざなうほどです。さらに清水寺の夜桜も絵になるほどで、眼下に春に霞む古都の夜景や三重塔などが浮かび上がり彩りを添えます。


江戸時代から庶民は夜桜を楽しんでいた

東北夜桜紀行01 054.jpg満開の下で繰広げられる“花見”が始まったのが平安時代。弘仁3年(812年)、嵯峨天皇が平安京神泉苑で宴を催したのが最初と伝えられる。当時は歌を詠み、舞い踊るという貴族の風雅な遊びだった。のちに豊臣秀吉が京都の醍醐寺で催した諸大名などを従えて盛大に催した「醍醐の花見」が広く庶民に知られたことにより、江戸時代になるとお花見は江戸の人々の行楽行事として楽しむようになる。そんな中で、当時の吉原遊郭では吉原大門の奥に桜の巨木を植え、提灯の明かりで美しいまでに妖しさをたたえながら、闇に浮かび上がる“夜桜”を見せていたという。春の今宵を、夜桜の幽玄の美に酔いしれてみてはいかがだろう。